コラム Column

近藤明夫税理士事務所コラム

日々の、仕事を通じて考えたこと、気づいたことを、
このように“コラム”としてまとめています。
読んでいただいた方にも何かのヒントになればと思っています。
長くお付き合いをする上で、自分の考えや思いに多少なりとも
ご賛同いただければ、と願っています。

パートタイマーへの社会保険の適用拡大について(その2)

前回コラムで「パートタイマーへの社会保険の適用拡大」についてまとめましたが、今回は具体的な金額を見ながら、今後の働き方を考えてみましょう。

【前回の復習】

社会保険の被保険者となる要件(R4.10月〜)

  • 被保険者の総数が常時100人超の会社である
  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 賃金の月額が88,000円以上である
  • 雇用期間が2カ月を超えて見込まれる
  • 学生でない
【ケーススタディー】

現行の働き方 : パートで時給1,000円 / 週25時間労働 / 社会保険は配偶者の扶養に入っていた

→令和4年10月〜社会保険に加入しなければならなくなる旨、会社から打診された場合について

ケーススタディー
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※メリット・デメリット

@とAの手取り差額は8,500円程度だけれども、Aの方は@より週6時間(ひと月25時間強)働く時間は少なくて済む。

Aは、配偶者の扶養で、健康保険に保険料の負担なく加入できる。

Aは、配偶者の扶養で、国民年金に保険料の負担なく加入できる。

@は、厚生年金加入で、将来、受給する年金が少し増える。

【参考】年金受給額の試算(概算)

1年加入すれば( = 厚生年金保険料10,065円×12カ月=120,780円を負担すれば )

受給できる年金は、標準報酬11万×5.481/1000×12カ月=7,235円(年額)、一生涯にわたり増える。

65歳から年金受給 → 85歳まで生きて20年間受給すれば、7,235円×20年=144,700円増(元は取れる!)

(健康保険料は掛け捨て = 健康保険料の分まで取り戻そうと考えていません・・・)

@は、ケガ/病気で長期休業を余儀なくされた場合に、所得保障である傷病手当金が受給できる。

Aは、雇用保険から外れるので、退職後の失業給付が受給できない。

A'は、週20時間以上労働として、雇用保険に加入し続けることが可能。= 失業給付が受給可能。

A'は、昇給して時給1,030円以上になれば、賃金月額88,000円以上の見込みとなり、社会保険の加入対象者となる。

※最後に

メリット・デメリットを挙げていきましたが、何が正しいという話ではありません。

ただ毎月の手取り額だけを考えるか、老後の年金受給を考えるか、万一のケガ・病気の際の所得保障を考えるかなど自分にとって大事なものを考えて、選択しましょう。

なお、@は法改正に伴い、自動的に社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するだけですが、AやA’は労働条件(所定労働時間)の変更となりますので、事前に会社に相談し、合意してもらう必要があります。「とても忙しいので、出勤時間(出勤日数)を減らされたら困る!」などといわれるかもしれません・・・。

(令和4年8月1日 現在)


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